研究分担者 |
楠 正人 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50192026)
毛利 靖彦 三重大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (70345974)
内田 恵一 三重大学, 医学部付属病院, 准教授 (30293781)
荒木 利光 三重大学, 医学部付属病院, 講師 (70343217)
吉山 繁幸 三重大学, 大学院・医学系研究科, リサーチアソシエイト (60444436)
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研究概要 |
癌悪液質を回避する根本的治療は癌組織除去であるが、転移再発例では外科的除去が困難なことが多く癌悪液質そのものに対する治療も必要となる。そこでサイトカインカスケードに着目したわれわれの仮説を証明することが必要となる。 実験計画で予定した担癌ラットとIL-1ra遺伝子導入ラット単核球による手術侵襲モデルでのサイトカイン産生比較や、大腸癌患者からヒト単球を単離しIL-1ra遺伝子導入ヒト単核球を用いた同様の検討は、関連技術の確立に難渋し結果を得るには至らなかった。しかしながら、ヒト大腸癌細胞株を用いた炎症性、抗炎症性サイトカイン産生関連の検討から、IL-1raがin vitroでsIL-6,sgp130を制御することを報告した(Okugawa Y, et al.Br J Cancer.2010)。また、癌悪液質のスコアリングが大腸癌根治術後の再発リスクと関連し、補助化学療法を要する患者の同定に関連することも報告した(Toiyama Y, et al.Experimental and Therapeutic Medicine.2011)。また、国内外の関連学会でもこれらの成果を精力的に発表してきた(Okugawa Y, et al.2010 AACR annual meeting)。大腸癌患者の血清中増殖因子が癌悪性度だけでなく癌悪液質に関わることから、抗炎症性サイトカインによる炎症性サイトカイン制御すなわち、IL-1raによる増殖因子の制御が、癌の進展のみならず、癌悪液質改善にすることを明らかにした。 大腸癌患者の単球へのIL-1ra遺伝子導入による宿主因子をターゲットとした癌悪液質改善効果と付随して期待される相乗的な抗腫瘍効果増強を基礎的に実証していく必要がある。
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