研究課題/領域番号 |
21591672
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
住吉 秀明 大分大学, 医学部, 助教 (60343357)
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研究分担者 |
松尾 哲孝 大分大学, 医学部, 准教授 (10284788)
吉岡 秀克 大分大学, 医学部, 教授 (00222430)
濱中 良志 大分大学, 医学部, 助教 (60274750)
岡本 修 大分大学, 医学部, 講師 (40284799)
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キーワード | 癒着防止 / 組織線維化 / コラーゲン発現調節 / V型コラーゲンα3鎖 |
研究概要 |
V型コラーゲンα3鎖(以下α3(V))が有する癒着防止機能を調べるため実験計画に基づき以下の実験を行った。(1) マウス背部皮膚と筋層を切開し、絹糸を用いて体腔内部と筋・皮下にそれぞれ結び目を残すように縫合し、治癒させた。結果、6日~10日かけてそれぞれの結び目を核として肉芽組織が形成され、体空内部の肉芽では肝臓、脾臓、腸管、卵巣、脂肪組織、など広範な臓器との癒着が確認できた。一方皮下の結び目と皮下組織との間には分離層が形成され、癒着が抑えられていた。(2) In-situ hvbridizationにより型別コラーゲン発現を調べたところ、癒着を引き起こしていた肉芽ではα3(V)の発現は特に少なく、縫合糸の周りに少し見られるだけであった。一方、癒着の抑えられた皮下の肉芽では分離層境界面に特に強いα3(V)の発現が確認できた。(3) 電子顕微鏡によりα3(V)の発現の多い部位のコラーゲン組織を観察したどころ、太いコラーゲンと細いコラーゲンが混在し、コラーゲン間に不定形の電子密度の高い物質が絡みついている所見が見られた。これに対し、癒着を起こしている部位の肉芽組織では、初期にはコラーゲン線維が殆ど見られないものの、迅速に太くて滑らかなコラーゲン線維が規則正しく形成される傾向があった。(4) 肉芽を形成する線維芽細胞について、骨髄由来FibrocyteのマーカーとされるCD13の所在を免疫染色にて調べたところ、癒着を形成しやすい部位の線維芽細胞は特に強く染色されたが、癒着を形成しにくい皮下浅筋膜由来の線維芽細胞はあまり染色されなかった。これらの綿維芽細胞は前者は星状紡錘形、後者は平坦形であり、形態にも違いがみられた。(5) α1(V)とα3(V)のN末ドメインを融合タンパク質として生産させ、ラットを免疫動物として抗体作成を行った。その結果、In-situ hybridizationの組織分布とよく合致する染色パターンの一組の抗体を得ることが出来た。(6) の初代細胞培養を用いたin vivoアッセイは現在継続して培養を行っている。
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