研究概要 |
昨年度の研究において、エストロゲン・レセプター(ER)α陽性および陰性乳癌組織からマイクロRNAを含むtotalRNAを抽出して各マイクロRNA(miR-206, miR-221/222, miR-17-5p, miR-18a, miR-193b, miR-302c)とERα発現を検討した結果、miR-206とmiR-302cを除く4種類のマイクロRNA値とERα発現には有意な正相関は得られなかった。そこで、miR-206とmiR-302cを単独または組み合わせてERα陽性乳癌細胞株(MCF7およびT-47D細胞)に形質導入してERαmRNA・蛋白発現を解析する実験を施行した。さらにこれらの細胞株をマイクロRNAのアンタゴニスト(antago miR-206とantago miR-302c)で処理したあとERαmRNA・蛋白発現を解析する実験を施行した。また、miR-206にmiR-302cを組み合わせて投与することにより、ERα陽性乳癌に対する抗腫瘍効果が増強するかどうかを検討した。しかし、いずれの検討においても、miR-206とmiR-302cの組み合わせがmiR-206単独を凌駕する結果は得られなかった。 本年度は、既存の抗エストロゲン剤とマイクロRNA(miR-206 and/or miR-302c)を併用投与することにより、ERα陽性乳癌に対する抗腫瘍効果が増強するかどうか、増強すれば、さらには、ERα陽性乳癌に対するマイクロRNA(miR-206 and/or miR-302c)(±抗エストロゲン剤)の抗腫瘍効果が、ヌードマウスを用いたXenograftモデルにより、in vivoでも認めるかどうかを検討したい。
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