研究課題
ERαの発現調節メカニズムにはいまだ不明な点が多いが、いくつかのマイクロRNAが関与している可能性が報告された。ERαを標的とすると報告されたマイクロRNA(miR-18a、miR-18b、miR-22、miR-193b、miR-221/222、miR-302c)の乳癌組織における発現を定量的RT-PCR法にて解析し、臨床病理学的因子との関連性について検討した。その結果、miR-18aおよびmiR-206はER陽性乳癌よりER陰性乳癌において高発現していた。しかし、miR-193bとmiR-221の発現レベルは、逆に、ER陽性乳癌よりER陰性乳癌において低発現していた。miR-22およびmiR-302c発現レベルは、ER発現レベルと相関は認めなかった。マイクロRNAは複数の遺伝子発現調節を行っているため、ERαを標的とすると報告されたマイクロRNAは、ER発現調節に直接関わっているわけではないことが分かった。また、ER陽性乳癌細胞株(MCF-7)にmiR-206を強制発現させると、濃度依存性、時間依存性に細胞増殖が抑制されることがわかった。また、miR-206強制発現により、ERα下流遺伝子であるPgR、サイクリンD1、pS2 mRNA発現が抑制されることもわかった。以上より、miR-206がER陽性乳癌におけるホルモン療法の新たな標的となることが示唆された。
すべて 2011
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Breast Cancer Res Treat
巻: 131 ページ: 331-339
DOI10.1007/s10549-011-1672-2