研究概要 |
1.乳癌組織内でのSHAP-HA複合体の発現を免疫染色にて確認した. このタンパクは,乳癌間質にびまん性に存在した.浸潤性乳癌においては,浸潤先進部にやや強い発現を表し,また乳管内癌においては周囲間質に発現いていた.多数の組織にて確認したが,その所見は一定のものであると確認出来た. 2.血液中のSHAP-HA複合体の濃度 健常人,初発無治療乳癌,再発乳癌の濃度をsandwich ELISA法にて測定した. 健常人 0.744±0.169 初発無治療乳癌 1.531±1.070(p=0.016) 再発乳癌 2.191±1.601(p=0.053) 乳癌に罹患することで,SHAP-HA複合体濃度(血中)が上昇することが証明された.しかし,症例の不足により,再発乳癌では,初発無治療の患者に比し,上昇の傾向とまでしか結論は得られていない.この値が,有意差を得たものとなれば,新規マーカーとしても利用可能と思われる. 3.CTCとSHAP-HAとの関係 癌の進行とともに,CTCが上昇することは示唆されているが,SHAP-HAの血中濃度との相関は,未だ確定されていない.症例の蓄積を必要とする.
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