研究課題
1.乳癌の微小環境においてエストロゲンおよび種々の増殖因子を供給する腫瘍活性化線維芽細胞CAF(Carcinoma-associated fibroblast)の機能が症例によって異なり個性があることを明らかにした。さらに、CAFの意義を検討するため、アロマターゼ阻害剤Exemestaneの短期術前ホルモン療法の前後の針生検を対象とし、CAFのER活性化能、乳癌細胞のエストロゲン受容体(ER)活性、治療効果との関連性の解析を進めた。CAFのER活性化能とER活性の解析にはERE-GFPを用いて独自に開発したアッセイシステムを用い、閉経前の症例についてはExemestaneとLH-RHアゴニストを併用した。今年度は症例数を87例に増加させて検討した。治療により癌細胞のER活性が低下した症例が23例(26%)、逆に増加した症例が10例(12%)あった。また、治療前に低いER活性を示し、治療後も低く変化が認められなかった症例が15例(17%)、初めに高いER活性が認められ、治療後も高かった症例は32例(37%)であった。血中および組織内のエストロゲンレベルを低下させるアロマターゼ阻害剤投与後もER活性の高い症例があることを今年度も確認した。CAFの培養が可能であった28例について解析した結果、治療によりER活性が低下した症例におけるCAFのER活性化能はその他のグループに比較して有意に低いことを確認した。治療効果との相関は、閉経後乳癌では治療後に低いER活性を示した症例で、閉経前ではER活性が高くなった症例で病理学治療効果の高く、閉経前後で異なることがわかった。2.閉経前の症例ではアロマターゼ阻害剤により急激にエストロゲンレベルが低下することが影響すると考えられる。
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Breast Cancer Res.Treat.Published online, 11 September, 2011
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