研究概要 |
これまでに新潟大学医歯学総合病院で外科切除されたイマチニブ二次耐性27腫瘍を対象として病巣内の多クローン性を病理形態的な性質を指標に分析した。その結果、組織学的性状および免疫反応性の異なる細胞領域が全27腫瘍中20腫瘍(74.1%)で認められ、その細胞領域の総数は66領域であった。 KIT遺伝子変異型を分析するため、選定された66の細胞領域からパラフィン包埋ブロックを材料にマイクロ・ダイセクション法により領域特異的に腫瘍DNAを採取した。得られたDNAを鋳型にPCR法でIT遺伝子の一次変異好発部位であるexon 9,11および二次変異の好発部位であるexon 13,17を増幅した。各エクソンの塩基配列はダイレクト・シークエンス法で分析された。 平成22年度において、全66領域中12領域(18.2%)までの遺伝子分析が終了した。計36のエクソンに対してPCRを行ったが、塩基配列分析が可能であったのは17エクソン(47.2%)であった。そのKIT遺伝子変異の内訳は、一次変異がexon 9であったものが4腫瘍中1腫瘍(25%)、exon 11であったものが3腫瘍(75%)であった。二次変異は分析可能であった5細胞領域中4領域でexon 17に認められたが、exon 13の変異は分析可能であった4細胞領域中には認められなかった。 平成22年度は、本研究の中核となる細胞領域ごとのKIT遺伝子変異分析に入ったものの、半数以上の材料で塩基配列分析が不可能であった。微細な細胞領域ごとの遺伝子分析を行うには、ホルマリン固定後の臨床標本は材料に適さないのかもしれない。現在、残りの材料の分析を進めるとともに、腫瘍内多クローン性評価の方法についても検討を行っている。
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