研究概要 |
当科で開発された、ラットの胃全摘後十二指腸液食道逆流再建手術モデルを用いて、farnesoid X receptor(FXR)のアンタゴニストであるガグルステロン(GS)による食道発癌への影響を検討するため、まずラットを用いて十二指腸食道逆流モデルを作成した。すなわち、7週齢のWistar雄性ラットを用いて、エーテル麻酔下に胃を全摘後、空腸を起始部から約4cmの部位で食道の断端に端側吻合した。 本年はさらに60頭に手術を行い、GS高用量投与群(2mg/kg/day)とした。従って、昨年と合わせて(1)GS高用量投与群60頭(2)GS低用量投与群(1mg/kg/day)60頭(3)コントロール群(非投与群)60頭となった。術後の生存率も問題なく、予定目標数に到達している。 GS低用量投与群とコントロール群を50週目にsacrificeして、各群における食道の炎症の有無を判定し、腫瘍が発生している場合は腫瘍の個数、大きさを測定した。GS低用量投与群の方がコントロール群に比較して、明らかに炎症の程度が軽く、腫瘍性病変の発生は低率で、大きさも小さかった。現在、病理組織学的な炎症、円柱上皮化生、異形成、腺癌の有無を調べている。またFXR, cyclooxygenase-2,PPARαのmRNAならびにタンパクの発現や、prostaglandin E2の産生量を検討するための準備をしている。 今後は、20週、40週におけるモデル、GS高用量投与群についても、同様に検討して行く予定である。
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