研究概要 |
腹腔鏡下手術では、手の触覚を使用できないため、早期癌の場合,開腹手術のように漿膜面からの病変位置を確認することが困難である。そこで、本研究においては、術前に経口内視鏡で標識用に打たれたクリップを検出する方法の開発をすすめる。消化管の中には液体と共に消化管ガスも存在するので、気体層を介しても走査できる超音波診断システムを作成する。 1.空気超音波アレイセンサ(10素子)の製作 今回目的とする,腹腔鏡下手術支援のため,センサーをトロッカー内に挿入して直径1mm程度の病変部標識クリップの3次元位置を検出・同定する必要がある.このためには、素子を小さくし、さらにアレイ構造として、任意位置に超音波ビームの焦点を結ばせる構成が有用と考え製作をすすめた。 2.気体層,ファントムを介してクリップを超音波パルス反射法で検出する実験 腸管内壁に打ち込まれた病変部標識クリップ位置を検出するためには、通常の接触式超音波診断装置に比べて30-50dB高い増幅が可能で、しかも人体組織内での減衰状況に応じて最適送信周波数を設定できるシステムが必要である。実際の手術においては,超音波が,気腹ガス(CO2),腸管壁,腸管内ガス(腸管壁と腸管内ガスは粘膜ヒダのため,複雑に交錯する)の各層を伝搬することになり、実際に近い状況で実験することが必要で、基礎実験用エラストマーに代わり,腸管壁に類似したヒダ構造を持つファントムを作成した.
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