研究課題/領域番号 |
21591699
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
片岡 健 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10293317)
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研究分担者 |
阪口 政清 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (70379840)
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キーワード | REIC / Dkk-3 / Gene Therapy / Scirrhous Gastric Carcinoma / Peritoneal Dissemination |
研究概要 |
本年度研究計画に基づき、まずアデノウイルスベクターを用いたREIC/Dkk-3遺伝子治療(Ad-REIC)に対する耐性獲得の鍵となる小胞体ストレス関連タンパク質BiPの発現ついてスキルス胃がん細胞株を用いて調べた。確認した3株全てで、これまで確認されているAd-REIC耐性がん細胞株と同レベル以上のBiPタンパク質発現が確認された。そこでこれまでにBiP機能阻害効果が知られている緑茶カテキン(EGCG)を用いてみたが、残念ながらAd-REICによるアポトーシス誘導に対して限定的な増強効果しか認めなかった。現在BiP発現抑制を通じてAd-REICの直接的なアポトーシス誘導を増強する方法をスクリーニング中である。 スキルス胃がん細胞株OCUM-2MD3に対してin vitroにおけるAd-REICのアポトーシス誘導を検討したところ、前立腺がん細胞株PC3に比べて明らかに耐性であった。そこでin vivoでの効果を検討するため、まずヌードマウスにOCUM-2MD3細胞を腹腔内注射する腹膜播種モデルを我々の手で再現した。その上で腹膜播種後1日目にAd-REICを腹腔注射して検討したところ、in vivoでは播種性腫瘍の数とその増大を抑制する効果が認められた。さらにAd-REIC投与により実際のマウス腫瘍組織内でアポトーシスが誘導されていること、CD49bにより染色されるナチュラルキラー細胞が腫瘍組織内へ動員されていることが確認された。すなわちスキルス胃がんOCUM-2MD3細胞を用いたマウス腹膜播種モデルでは、Ad-REIC腹腔内投与による腫瘍免疫系の賦活化のみで腹膜播種が抑制されたと考えられた。これらの結果を纏めて、平成22年度中に論文化することを目指している。 今後の展開としては、Ad-REICの直接的なアポトーシス誘導の増強、Ad-REICの抗がん剤効果増強効果を上記腹膜播種モデルを用いてスキルス胃がんに応用する方針である。
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