研究課題/領域番号 |
21591699
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
片岡 健 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10293317)
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研究分担者 |
阪口 政清 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (70379840)
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キーワード | REIC/Dkk-3 / Gene Therapy / Scirrhous Gastric Carcinoma / Peritoneal Dissemination |
研究概要 |
平成22年度は本研究課題の進捗により、以下の成果がえられた。 1.スキルス胃がん細胞株OCUM-2MD3で、幹細胞マーカーであるCD133とCD44が高発現していた。さらに両マーカーの高発現は、REIC/Dkk-3遺伝子治療(Ad-REIC)により減少した。このことはAd-REICががん幹細胞に対して、幹細胞性を抑制する可能性を示唆している。しかし現状ではその程度は十分ではなかったので、今後効果を増強する条件を突き止める方針である。 2.REIC/Dkk-3の正常機能を解明するため、おもに上皮組織での発現を詳細に解析した。皮膚、口腔粘膜、食道、子宮頸部といった扁平上皮組織では発現を認めたが、角膜では発現を認めなかった。これら上皮組織におけるREIC/Dkk-3の発現は特異的で、すでにある程度分化した層においてのみその発現を認めた。今後は、正常および病的組織でのREIC/Dkk-3の発現制御とその機能の解明を進める方針である。 3.Ad-REIC耐性のがんとして膀胱がんに着目して、新たに耐性を克服する方向性を見出した。をこれまで膀胱がん細胞がAd-REICに対して耐性があることを報告したが、この原因としてBcl-2ファミリー分子の高発現によって膀胱がん細胞がアポトーシスを回避していることを以前に報告した(Kobayashi et al. Acta Med Okayama 2008)。今回新たな知見としてさらに、パーキンソン病の原因遺伝子であるPINK1がこの耐性に関与することが明らかになった。8種類の膀胱がん細胞のAd-REIC感受性とPINK1の発現を調べたところ、両者の間に正の相関が認められた。さらに耐性細胞に対してsiRNAを用いてPINK1の発現を低下させると、部分的にではあるがAd-REIC感受性が亢進した。このときBcl-2ファミリー分子の発現を確認したところ、Ad-REICによって低下することが明らかになった。
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