研究課題
1. 食道癌発癌における酸化的DNA損傷の関与8-oxoGは酸化的損傷の指標でありOGG1で塩基除去修復される。食道癌切除例でOGG1と8-oxoGの免疫染色を行い臨床病理学的因子との関係を検討した。その結果、1)喫煙指数が多いほど正常食道上皮の8oxoGが蓄積していた。2)食道上皮に比較して癌部ではOGG1の発現が低下していた。3)癌部のOGG1は核染色型と細胞質染色型があり深達度が深いほど核の発現が低下していた。以上より、タバコの暴露によって食道粘膜に酸化ストレスが惹起されると考えられる。さらに、癌部ではOGG1の発現が低下しておりDNA修復の障害が示唆された。2. 食道癌発癌におけるp53遺伝子変異とコピーニュートラルloss of heterozygosityの意義食道癌における癌抑制遺伝子p53の遺伝子変異と17番染色体のloss of heterozygosity(LOH)を解析した。1.p53遺伝子変異とLOHの関係:食道癌切除症例においてp53遺伝子変異を46.2%、LOHを51.6%に認めた。p53遺伝子変異症例では高頻度(73.8%)にLOHを伴っていた。2.LOHのメカニズムに関する検討:食道癌細胞株10株中4株にp53遺伝子変異を認めたが、すべてにおいて野生型シグナルが変異シグナルに完全に置換されていた。p53遺伝子領域のLOHの存在が示唆されたため、CGHにより遺伝子コピー数を解析したが明らかなコピー数変化を認めなかった。また、食道癌臨床検体と細胞株を用いてFISHを施行したところ、p53遺伝子変異に伴うLOHの85.7%がコピー数変化を伴わないLOH(コピーニュートラルLOH)であることが明らかとなった。以上より、p53遺伝子変異を伴う食道癌においてはp53遺伝子座のコピーニュートラルLOHが発癌の主要メカニズムであることが示唆された。
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