胃癌播種性骨髄癌症の病態解明と治療薬の開発

2010 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 21591703
• 研究機関: 熊本大学
• 研究代表者: 林 尚子 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (20452899)
• 研究分担者: 蒲原 英伸 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (90398222)
• キーワード: 胃癌骨髄癌腫症 / 遊離癌細胞(ITC) / 癌幹細胞

研究概要

1. 血中遊離癌細胞(ITC)の検出とITCの遺伝子発現解析:
血液中の循環癌細胞を直接測定・解析するシステムであるCellSearch^<TM>を用い、胃癌播種性骨髄癌症5症例の血液中からサイトケラチン陽性細胞(=癌細胞)を検出し、回収した。回収した細胞からRNAを抽出し、gene tipを用いて遺伝子発現のprofilingを行った。これらのITCで普遍的に強発現あるいは発現が低下しており、DIC (disseminated intravascular coagulation)などの病態に関与していると思われる分子の同定作業を現在行っている。
2. 原発巣、転移巣における癌細胞の性質:
1で得られた結果から、主な遺伝子をpick upし、原発巣、転移巣、末梢血液に存在する癌細胞で発現のパターンが変化しているのかどうか、免疫組織染色、Western blotting、RT-PCRなどで確認する予定であったが、まだ、遺伝子のpick up中である。
3. xenograftの作製:
CellSearchで分離・回収されたヒト胃癌細胞(ITC)を免疫不全マウスに接種し、2症例において胃癌播種性骨髄癌症モデルマウスが作製された。
4. 癌時幹細胞の同定:
1症例において、Xenograftの作製過程で腫瘍再現能が確認され、さらに二次移植で自己複製能が確認されたことにより、患者末梢血から得られた癌細胞中に癌幹細胞あるいは類似の細胞が存在したことが強く示唆された。

研究成果

• [雑誌論文] Extensive lymphatic spread of cancer cells in patients with thoracic esophageal squamous cell carcinoma : detection of CEA-mRNA in the three-field lymph nodes. (2010)
  • 著者名/発表者名: Imamura Y, Hayashi N, Sato N, Kinoshita K, Kurashige J, Saito S, Hirashima K, Karashima R, Hiyoshi Y, Nagai Y, Watanabe M, Baba H
  • 雑誌名: J Surg Oncol 巻: 102 ページ: 509-515
  • 査読あり
• [雑誌論文] FOLFOX enables high resectability and excellent prognosis for initially unresectable colorectal liver metastases. (2010)
  • 著者名/発表者名: Beppu T, Hayashi N, Masuda T, Komori H, Horino K, Hayashi H, Okabe H, Baba Y, Kinoshita K, Akira C, Watanebe M, Takamori H, Baba H
  • 雑誌名: Anticancer Res 巻: 30 ページ: 1015-1020
  • 査読あり
• [雑誌論文] Treatment results of FOLFOX chemotherapy before surgery for lymph node metastasis of advanced colorectal cancer with synchronous liver metastasis : the status of LN metastasis and vessel invasions at the primary site in patients who responded to FOLFOX. (2010)
  • 著者名/発表者名: Sawayama H, Hayashi N, Honda S, Baba Y, Toyama E, Watanabe M, Takamori H, Beppu T, Baba H
  • 雑誌名: Int J Clin Oncol 巻: 15 ページ: 70-76
  • 査読あり
• [学会発表] 消化器外科におけるトランスレーショナル研究:臨床応用を目指した挑戦 遊離癌細胞(ITC)の同定と機能解析 (2010)
  • 著者名/発表者名: 林尚子、今村裕、佐藤伸隆、斎藤誠哉、蔵重淳二、木下浩一、辛島龍一、平島浩太郎、長井洋平、岩上史朗、宮本裕士、岩槻政晃、渡邊雅之、馬場秀夫
  • 学会等名: 第18回JDDW 第8回日本消化器外科学会大会
  • 発表場所: 横浜
  • 年月日: 20101013-20101016
• [学会発表] バイオマーカーによる癌の個別化治療の試み (2010)
  • 著者名/発表者名: 林尚子、平島浩太郎、齋藤誠哉、佐藤伸隆、鶴田豊、岩上志朗、宮本裕士、池田貯、渡邊雅之、馬場秀夫
  • 学会等名: 第65回日本消化器外科学会総会
  • 発表場所: 下関
  • 年月日: 20100714-20100716
• [学会発表] オンコロジストとしての外科医に求められる基礎研究とは何か (2010)
  • 著者名/発表者名: 林尚子、今村裕、佐藤伸隆、斎藤誠哉、蔵重淳二、木下浩一、辛島龍一、平島浩太郎、日吉幸晴、池田貯、渡邊雅之、馬場秀夫
  • 学会等名: 第110回日本外科学会定期学術集会
  • 発表場所: 名古屋
  • 年月日: 20100408-20100410