研究課題/領域番号 |
21591708
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
古畑 智久 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (80359992)
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研究分担者 |
西舘 敏彦 札幌医科大学, 医学部, 助教 (80404606)
木村 康利 札幌医科大学, 医学部, 講師 (80311893)
沖田 憲司 札幌医科大学, 医学部, 助教 (70517911)
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キーワード | 大腸癌 / VEGF / 間質細胞 / 血管新生 |
研究概要 |
大腸癌切除標本を対象に、VEGF抗体にて免疫染色を行った。腫瘍部分で約60%、間質部分で約50%の発現を認めた。腫瘍部分の発現は進行度と正の相関を認め、問質部分の発現は進行度と逆相関を認めた。間質部分に発現を認める症例では、血管侵襲が軽度であり、MVDも低値であった。凍結切片が採取可能であった症例から、LCM法にて腫瘍部分と間質部分を分離し、それぞれからRNAを抽出し、VEGF-Aのスプライスバリアント解析を行った。VEGF165およびVEGF165bがPCRにて増幅されていることの確認は、ダイレクトシークエンスおよびサザンプロットで確認した。腫瘍部分では、VEGF165の発現を認めたが、VEGF165bの発現は認めなかった。一方、間質部分ではVEGF165、VEGF165bの両方の発現を認めた。VEGF165bの発現量は、血管侵襲およびMVDと逆の相関を認めた。VEGF165bの大腸癌間質組織における発現は、血管新生阻害による癌進展を抑制しているものと思われた。VEGF165bを発現している細部の同定を行う目的で、各種表面マーカーの免疫染色を行った。その中で、間質VEGF発現細胞と最も一致率が高いマーカーはCD68であった。現時点では、腫瘍関連マクロファージであろうと思われるが、今後、さらなる検討を進めていく予定である。 以上の結果より、間質にVEGFが発現している症例で予後良好であった理由として、間質で発現しているVEGFは、血管新生抑制作用をもつVEGFスプライスバリアントであるVEGF165bであることと考えられる。このVEGF165bを発現する細胞の同定、腫瘍近傍にリクルートされる機構、VEGF165b発現誘導のメカニズムなどが解明されれば、癌治療戦略のひとつとなる可能性を有すると考えられる。
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