研究課題
【目的】本研究は、正常組織で観察される遺伝子修飾異常(DNAメチル化異常)の情報をもとに、癌のかかりやすさを予測しようとするものです。DNAメチル化異常は癌組織のみならず、非癌部や炎症組織でも認められるため、その情報を癌発症の予測や早期診断に利用します。【研究実施計画と成績】メチル化マイクロアレイを確立し、大腸癌細胞株を用いてその精度を検証しました。このアレイを用いて、潰瘍性大腸炎の非担癌症例のメチル化異常を網羅的に解析し、発癌に関与する候補遺伝子を同定しました(1)。そのうち、PSD(Pleckstrin and Sec7 domain-containing gene)遺伝子の機能解析を行い、発癌に関わるメカニズムを明らかにしました(2,3)。一方、ゲノム全域に広がる脱メチル化異常と癌易罹患性を明らかにするため、ピロリ感染慢性胃炎、胃癌、散発性大腸癌、多発性大腸癌の背景粘膜の繰り返し配列(サテライト配列、Alu、LINE、SINE等)の変化を解析しました。その結果、ピロリ感染慢性胃炎から胃癌の発癌過程において、背景粘膜のセントロメア領域のサテライトαの脱メチル化異常が段階的に上昇していく事を示し、特に若年性、多発胃癌発症のバイオマーカーとしての有用性を明らかにしました(4)。また、単発大腸・癌と多発大腸癌の背景粘膜のLINE-1の脱メチル化異常を比較定量化し、同時性、異時性多発癌の危険因子であることを示しました(5)。一方、マイクロサテライト不安定性大腸癌とその前癌病変と考えられている鋸歯状腺腫の網羅的解析により、特に右側の鋸歯状腺腫がマイクロサテライト不安定性の前癌病変である事明らかにしました(6)。さらに通常大腸癌と管状腺腫を加えてメチル化マイクロアレイの解析を行い、βカテニンの分解に関与する遺伝子やmTOR、CPT-11の感受性にかかわる蛋白(7)を同定しました。
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