研究課題
様々な腫瘍・間質関連因子が、直腸癌化学放射線療法後の予後に関わるとする仮説から、平成23年度は癌の増殖、浸潤能に関与するとされるCancer-associated fibroblast (CAFs)が、直腸癌化学放射線療法後の予後に関与することを報告した(Int J Oncol 2011)。平成22年度から放射線照射自体が大腸癌細胞にEMT誘導を来すかどうかの検証もin vivo、in vitroで行ってきたが、細胞株、臨床検体どちらにおいても形態的にEMT誘導が放射線で惹起されることを報告した(Oncol Rep 2012)。また、化学放射線療法の治療抵抗性はhypoxia環境が大きく影響されることもあり、我々はhypoxia関連因子であるGLUT1(glucose transporter-1)の発現と直腸癌化学放射線療法後の予後についても検討した。化学放射線療法後のGLUT-1高発現は遠隔転移再発に関与し、予後に関与することが示唆された(Surgery Today 2011)。同様に癌増殖、浸潤、転移などに重要な役割をはたすHGFおよび受容体であるcMETのシグナル伝達系と直腸癌化学放射線療法後の再発との関連を検討したところ、HGF/cMETを抑制することが、根治術後の遠隔転移再発抑制につながる可能性を見出すことができた(Int J Oncol 2012)。このようにいくつかのアプローチから化学放射線療法後の直腸癌遠隔転移誘導メカニズムのヒントを多く得ることができた。今後のさらなる研究へと継続中である。
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Oncol Rep
巻: 27 ページ: 51-57
10.3892/or.2011.1485
Int J Oncol
巻: 38 ページ: 655-663
巻: 26 ページ: 1069-1074
10.3892/or.2011.1408