本研究では、大腸癌臨床検体を用いて大腸癌におけるING2遺伝子の発現解析と大腸癌培養細胞株を用いてING2遺伝子の転写発現制御また大腸癌における臨床学的意義を解明し、臨床応用可能となりうる分子標的治療の開発を目的とする。 (1) 大腸癌臨床検体におけるING2遺伝子の発現を調べた。大腸癌臨床検体40例の癌組織と正常組織におけるING2遺伝子のmRNA発現を調べたところ、癌部におけるING2の発現が正常組織のING2発現より有意に亢進していた。この結果から、ING2遺伝子は、発癌や転移浸潤に関与する可能性を見出した。 (2) ING2遺伝子の過剰発現により連動する遺伝子群の解析を施行するため、アデノウイルスを用いたING2発現ベクターを作製し、大腸癌培養細胞株にING2遺伝子を過剰発現させ、一過性にING2を過剰発現させた細胞と元の細胞のmRNA発現の差をマイクロアレイを用いて探索した。MMP13などの遺伝子がING2の発現に連動していることが判明した。
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