われわれは、大腸癌におけるHOPXメチル化を利用したリンパ節転移診断を企画した。特に直腸癌におけるHOPXメチル化の存在が予後にどのような影響をおよぼすかを検討した。検討にあたって、微小転移癌の存在にどの程度の確からしさがあるか微小DNA検出系を確立するべく検討を行った。大腸癌におけるHOPXメチル化は約50%に認められるが、検出感度を求めてみると500分の1の感度であった。この場合の感度とはぎりぎりの感度で明らかにバンドが検出されるレベルとなると100分の1程度の感度であり微小転移検出にはふさわしくないレベルであることが判明した。さらに大腸癌の半数しかメチル化が存在しないことから、微小転移診断に対してのハードルとして次の2点に注目した。(1)頻度のより高いメチル化遺伝子を同定し検討すること。(2)DNA抽出の質を上げることにより微小転移の検出率を上げること。さらに、(3)PCR以外の新たなtechonologyを用いて検出感度を上げることが重要であることが判明した。現在より高い頻度でメチル化がみられるCDO1について微小転移のマーカーとしての可能性を検討中であるが、CDO1は90%以上の癌特異性を示すものの、血漿中DNAはわずか20%にしか検出されず微小転移検出の感度増大に向け更なる検討を要する段階にある。
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