前年に引き続きESDによる大腸潰瘍モデルの作製と培養口腔粘膜上皮細胞シートの作製と大腸ESD後人工潰瘍面に対する経内視鏡的移植術手技の開発を継続した。前年にブタ口腔粘膜上皮細胞シート作製成功したが、個体により細胞シートとして回収できないことがあり、養方法の最適化を行う必要があった。そこで培養液の内容および細胞播種数等を調整したり、温度応答性培養皿のIPPAmの含有量を変えたりすることで、内視鏡的な移植にも使用可能なブタ培養口腔粘膜上皮細胞シートを作製する実験を行った。安定化した細胞シートを作製することが可能となった。本年度の予定であった培養口腔粘膜上皮細胞シート移植のシール効果の検討は、現在数例プレリミナリーな実験を行ったばかりで、今後症例を増加させシーリング効果の有無について評価する予定である。しかしながらプレリミナリーな実験では急性汎発性腹膜炎の状況はなく生存していることから、シーリング効果が期待できるものと思われた。また穿孔モデルについては、作製するための手術機材であるEESエナジーセットを本年度末に入手したばかりで、他の機材も入手し実験可能な状況が整ってきたため、次年度行う予定である。来年度予定のブタ線維芽細胞シート作製をすでに開始し、培養に成功している。こちらも引き続き培養法を最適化し安定化した線維芽細胞シートを作製する方法を確立したい。本年度は本研究に必要なブタ口腔粘膜上皮細胞シートの最適化とその移植を試み、またブタ線維芽細胞シートを作製するという本研究を進める上で重要な実験を行った。
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