研究課題
放射線による急性期障害では、マウス腸管のcryptに存在する細胞のアポトーシスを多く認め、また、放射線の晩期障害では、急性期に認められた粘膜下層の炎症細胞浸潤は軽減し、粘膜下層の線維化が亢進していた。この放射線による晩気障害の一つである線維化予防に対して、HGFまたは、NF-k B decoy投与に効果があるか検討した。Sirius染色による検討では、HGF投与群では非投与群に比べて放射線による腸管線維化の改善傾向が見られたが、NF-k B decoy投与群は非投与群に比べ障害の程度に変化は認められなかった。以上のことより、放射線によって起こる腸管の線維化抑制にHGFが有効である可能性が考えられた。次にHGFが、大腸癌細胞の増殖に及ぼす影響をIn Vitroの実験で行った。使用した大腸癌細胞株はHCT119で、低濃度HGFでは癌細胞株の増殖に影響はなかったが、高濃度では増殖が促進される傾向にあった。NF-k B decoyのtransfectionは大腸癌細胞株の増殖能抑制効果を認め、NF-k Bのがん増殖にかかわっている可能性が認められた。また、我々は、HGF及びNFkBが癌細胞におけるEMT(Epithelial-mesenchymal transition transformation)に深くかかわっているか、EMT関連分子(E-cadherin, Snail, S100A, uPAR, PAI-1, TPA)発現との関連について調べたが、明らかな関与は見当たらなかった。
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