研究概要 |
●本年度はCCND2遺伝子に対する定量的メチル化解析方法の確立とその血清レベルと予後との関連性を検証した。(1)メチル化遺伝子に対する従来の解析法(定性的PCR法)ではメチル化判定が困難な場合が指摘されており(Zeschnigk M, Nucleic Acids Res 32:2004)、この対応策として、20例のHCV関連HCC患者より、癌組織と非癌部肝組織におけるBIS処理後のCCND2プロモーター領域のパイロシーケンシングを行い、最適なメチル化解析ポジション(癌と非癌部肝で最も差異のある領域)の同定を行った。(2)上記の結果に基づきプライマーおよびタックマンプローブを設定し、ライトサイクラー(現有設備)を用いてメチル化CCND2遺伝子の定量を行った。(3)癌組織から抽出したDNAと血清中のセルフリーDNAとのペアサンプルを用いて、両サンプルにおけるCCND2遺伝子のメチル化状態の関連性を検証し、癌局所のメチル化状態と血清メチル化状態が検討したサンプルでほぼ合致することを確認した。以上より、血清メチル化CCND2の測定を治癒切除を受けたHCC70例で行い、臨床病理学的背景因子との関連性を検証したところ、血清メチル化CCND2の陽性症例は明らかに予後不良であることが判明し、国際論文へ投稿し受理された(Tsutsui et al, Clinica Chimica Acta, 2010)。さらにBIS処理不要なメチル化解析法を考案し論文報告を行った(Kimura et al, Clinical Biochemistry, 2009)。
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