患者の末梢血を浮遊しているCCND2遺伝子のメチル化状態の定量解析とHCC患者の再発との関連性を明確にし、本遺伝子単独あるいは複数遺伝子を組み合わせた予後予測システムを開発することを目的とする。 1 サンプリング条件の設定(血清回収方法、セルフリーDNAの回収および抽出、定量法) 2 CCND2遺伝子に対する定量的メチル化解析方法の確立。 上記1、2のタスクは既に達成できた。また癌組織から抽出したDNAと血清中のセルフリーDNAとのペアサンプルを用いて、両サンプルにおけるCCND2遺伝子のメチル化状態の関連性の検証も完了した。さらに、他のメチル化遺伝子との組み合わせで予測スコア化ができないか模索した結果、複数の遺伝子候補を同定した。これらのメチル化遺伝子の中で4遺伝子のメチル化を検出し得た肝癌症例の予後が有意に不良であり、いわゆる血清でのCpG island methylator phenotype(sCIMPと命名)を定義できることを確認し報告した(飯塚徳男 他 第70回日本癌学会学術総会 : 血清CIMPと肝細胞癌の予後;飯田通久 他 第112回日本外科学会定期学術集会 : 血清を用いたCpG island methylator phenotypw(CIMP)による予後評価への応用)。現在、高密度アレイを用いた肝癌予後に関連する新規メチル化遺伝子の同定を行いつつ、既知のメチル化遺伝子や新たな遺伝子を加えたデータを基にin silicoでハイブリッド型予後予測システムを構築予定である(平成24年度の基盤研究C : エピジェネティクスに基づく肝癌予後予測のためにハイブリッド型血液テストへ移行)。
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