研究課題/領域番号 |
21591755
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
赤星 朋比古 九州大学, 大学病院, 助教 (20336019)
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研究分担者 |
前原 喜彦 九州大学, 医学研究院, 教授 (80165662)
富川 盛雅 九州大学, 医学研究院, 寄附講座教員 (60325454)
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キーワード | 肝硬変 / 肝微小循環 / 門脈圧亢進症 / Rho kinase阻害剤 / Shear response factor |
研究概要 |
本年度での研究では、肝線維化において中心的な役割を担っている肝星細胞をターゲットとした治療法の開発を目的とし、以下の研究と成果を得た。 検討1: 肝硬変モデルにおけるRho kinase inhibitor(fasudil) (胆管結紮および四塩化炭素の投与により作成したラットを用いて肝線維化を誘導し肝硬変モデルを作成した。このラットにRho kinase inhibitorであるfasudil(10mg/kg)を経口投与したところ、4週目および8週目でいずれの肝硬変モデルにおいても肝線維化の著明な改善を認めた。また投与により門脈圧も低下し、肝微小循環の改善によると考えられる門脈圧亢進症の改善も認めた。肝硬変ラットにおけるFasudiの臓器毒性は4週間および8週間の投与で確認したが、死亡したラットはみられず、腎機能、肝機能異常をきたしたものはなかった。長期的な投与でもラットにおける安全性を確認した。 検討2: 培養肝星細胞におけるfasudilの効果 培養肝星細胞においてFasudilは、濃度依存性に肝星細胞のアポトーシスを誘導することがわかった。また肝星細胞のアポトーシスに伴ってαSMA蛋白の関与が示唆された。よってfasudilによる肝星細胞のアポトーシスはαSMAの発現低下を介したものであることが考えられた。さらに近年αSMAの発現にかかわる転写因子であるserum response factor(SRF)についてもwestern blotにて検討したところ、αSMAと同様にfasudil投与により、その発現の低下を認めた。今後は、SRFの阻害剤を用いて特異的なシグナルトランスダクションの解明を行い、fasudilによる肝星細胞のアポトーシス誘導のメカニズムについて検討する予定である。
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