研究概要 |
10週齢,体重2,200±200gの雄性ウサギ(n=45)を5%ペントバルビタール全身麻酔下に上腹部正中切開にて開腹し,腸管うつ滞を回避するために肝尾状葉枝のみを避ける方法で肝動脈および門脈に阻血用ターニケットをかけ,20分間の温阻血後,ターニケットを解放し,肝虚血再灌流モデルを作成した。23年度はin vivoで肝組織内NOをリアルタイム測定することとした。ウサギ肝臓にMicrodialysis probe CMA/20(ポリカーボネイト膜,分子量20,000Daltons cut off)を阻血予定肝表面より挿入留置し,Microdialysis pump(Carnegie Medicine CMA/102)にて,サリチル酸を0.5nmol/μlの濃度に含むRinger液(Na^+ 147, K^+4, Ca^<2+>5, Cl^-156nEq/l, pH5.0~7.5,浸透圧比約1,大塚製薬)を灌流液として,まず1.5μl/minの速度で1時間灌流して,プローブを安定させた。温阻血解放後は30分ごとに9時間後まで,この灌流液から45μlを採取して検体とした.また,プローブ周囲に生じた凝血による測定障害を防止するために,ヘパリン(生理食塩水にて100U/1mlに溶解)を前処置として初回200U/kg,その後1時間ごとに100U/kgを静脈内投与した。NOの定量は検体10μlを用いて,NOの定量をGriess法(硝酸イオンおよび亜硝酸イオンのジアゾ化反応吸光度測定方式)にて,高速液体クロマトグラフィーENO-20(Eicom社)とシステムコントローラーPower Chrom (Eicom社)を用いて,NOxとして測定した。移動相は10% methanol, 0.15M NaCl, 0.15M NaCl, 0.5g/l 4Na-EDTAを含み,反応液は1.25% HCl,5g/l sulfanylamide, 0.25g/l N-naphthylethylendiamineを含む溶液を用いた。 肝虚血再灌流障害時におけるNOの測定結果,肝組織内NOxは再灌流6時間後より漸増傾向を示し,6時間以後は有意な上昇を認めた(p<0.05)。しかし,血清中NOxは有意な変化を示さなかった。
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