研究課題/領域番号 |
21591762
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
田辺 稔 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (50197513)
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研究分担者 |
篠田 昌宏 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (50286499)
高柳 淳 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80245464)
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キーワード | 劇症肝不全 / HMGB1 / サイトカイン / 体外循環 / アデノウィルス |
研究概要 |
本研究においては、まずi)大小動物の劇症肝不全モデル、さらには患者検体における血液、肝組織中のHMGB-1動態を明らかにし、次に、ii)小動物モデルにおいてHMGB-1を制御・阻害し病態改善効果を示すことで、HMGB1の病態メカニズムとの関連を明らかにする。最終的に、iii)大動物モデルにおいて体外循環実験を行い、劇症肝不全の新たな前臨床的治療法を開発する、ということを具体的な研究目的として実験を行ってきた。 i)HMGB-1動態:HMGB-1動態の解析については、教室では薬剤誘導性劇症肝不全ラット、ブタモデルおよび劇症肝不全患者血清でHMGB1が上昇していることを確認してきた。HMGB1の肝組織内での動態についても免疫染色、組織内タンパク定量などによって世界で初めて詳細に解明することができた。 ii)小動物モデル:HMGB-1を制御するためのstrategyは以下の3種類。(1)抗HMGB-1抗体。ラット薬剤誘導肝炎モデルにおいて抗HMGB-1抗体により、肝酵素などさまざまなパラメーターを改善させることがわかった。(2)HMGB-1阻害タンパクであるHMGB-1 A Boxの遺伝子導入。本実験用にHMGB-1 A Boxのアデノウィルスベクター(以下Adex-HMGB-1ABox)を作製済みであった。実際にラットの肝臓に遺伝子導入することで臓器自身にタンパクを合成させることができ、肝不全ラットの生存率を改善させた。(3)Adex-HMGBlABoxを感染させたHMGB-1 A Box産生性培養肝細胞を作製し、さらにこの肝細胞を人工肝臓に内蔵し体外循環下に治療する手法を検討中である。 iii)大動物モデル:臨床応用を念頭に、HMGB-1特異的吸着カラムをブタ肝不全モデルで稼働させ、各種面液データを有意に改善させ、生存率を改善させる傾向があることがわかった。
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