研究概要 |
胆膵領域の上皮において発現が報告されているAQP1,AQP4,AQP8と、胃癌・大腸癌等で発現が報告されているAQP5に関して24例の組織アレイ(TMA1150)にて解析を行い、AQP1(22.2%)、AQP4(31.5%)、AQP5(82.4%)、AQP8(0%)の発現を認めた。2010年度においては、最近の症例(1997~2010年)51例に対し、新規に組織マイクロアレイを作成し、免疫染色にて網羅的にAQP1,4,5,8を解析した。発現の割合は、AQP1(41%)、AQP4(22%)、AQP5(59%)、AQP8(6%)であった。また、当科にて初代培養を行った胆嚢癌細胞株(TYGBK-1)を用い、AQP1~10の発現を解析し、RT-PCRにおいてもAQP5の発現が顕著であった。組織アレイの解析にて、AQP1,AQP5において、漿膜浸潤の有無とAQPの発現に関連を認めた。胆嚢癌におけるAQP発現は腫瘍進達度や漿膜浸潤との関係が示唆された。siRNAにて増殖および転移浸潤への関与を解析中である。一方、細胞バンク由来の胆嚢癌細胞株を含めた4株における薬剤感受性ではAQP5発現陽性の胆嚢癌細胞株(TYGBK-1)はゲムシタビン、5-FUに感受性を示しており、他の胆嚢癌細胞株(3株)との比較において、AQP5との関連を現在検証中である。今後チップマイクロアレイ解析にて、AQP発現と関連するmicroRNAを同定する。
|