研究概要 |
【研究目的】ヒト由来胆道癌細胞(NOZ)に対する光線力学療法(以下PDT)の殺細胞効果,アポトーシス誘導効果をin vitro, in vivoで検討し、フォトフリンと新規光感受性レザフィリンとの効果を比較する。また抗癌剤併用によるPDTの相乗効果を検討する。【実施内容】in vitro:胆道癌細胞株NOZに対しフォトフリンやレザフィリンを用いてPDTを施行し照射後24時間後にcell viabilityおよびapoptosisの解析を行った。胆道癌に用いられる各種抗癌剤(gemcitabine, CDDP, oxaliplatin, 5-FU)を用いてPDTと抗癌剤との併用による相乗効果を検討。in vivo:上記の胆道癌細胞株をヌードマウス(BALB,c,nu/nu,4W,male)の背部に皮下移植し,フォトフリンまたはレザフィリンを腹腔内投与を行い,48時間後にPDTを施行し。経時的に標本のsacrificeを行った。腫瘍組織標本の解析をH.E.染色,PCNA染色,TUNNEL染色にて行った。in vivoにおいても各種抗癌剤を単剤または多剤併用し、相乗効果を検討した【結果】in vitro:PDTの殺細胞効果の検討ではレーザー依存性の生細胞率を得た。フォトフリンおよびレザフィリンいずれもPDTに誘導されたApoptosisを確認した。レザフィリンーPDTではフォトフリン-PDTに加え、有意に高い壊死、apoptosisの誘導、細胞増殖活性の抑制、VEGFの誘導を認めた。抗癌剤の併用により腫瘍壊死の相乗効果を認め、単剤よりも多剤投与で相乗効果が高く、中でもGemcitabine+Oxaliplatinの組み合わせが最も高い相乗効果を認めた。フォトフリンよりもレザフィリンがより相乗効果が高かった。in vivo:腫瘍壊死の反応はPDT72時間後には40%近い壊死面積を得た。フォトフリンに比ベレザフィリンでは有意に高い壊死、apoptosisの誘導、細胞増殖活性の抑制、VEGFの誘導を認めた。抗癌剤併用でもin vitroと同様に相乗効果が見られ、単剤よりも多剤にて高い壊死効果が得られた。【結論】新規光感受性物質レザフィリン-PDTが次世代のPDTとして有用で、抗癌剤との併用により胆道癌の化学療法の成績を向上させることが可能と考える。
|