研究概要 |
ヒト膵癌由来細胞株(AsPC1, BxPC3, MIA PaCa3),ヒト肝臓癌由来細胞株(HepG2)において定量的RT-PCRを用いたHeparanaseの発現量の比較を行ったところ、AsPC1を基準に発現量の比をとると、AsPC1, BxPC3においてHeparanaseの発現量が高かった.WST assayでは、Heparin 320U/ml投与下での48時間後の各細胞株の細胞増殖抑制効果の検討をすると、AsPC1,BxPC3では高く、MIA PaCa2, HepG2では低く、Heparanaseの高発現している細胞株においてUFHの効果がより高い可能性が考えられた.さらに、Chemoinvasion Assayでは、低濃度でチャンバーを通過した腫瘍細胞が減少し、増殖抑制だけではなく,浸潤能を抑制している可能性が考えられた。Luciferase安定発現腫瘍細胞を用いた肝転移モデルの作成では、ルシフェリンを腹腔内投与したのちに蛍光イメージング(IVISという機械)を行うことで定性・定量を行う.・膵癌肝転移モデルに対するUFHの抗腫瘍効果を検討すると、腫瘍細胞を膵尾部漿膜下に5x10^5 in 50μl注入し,4週間の飼育した後にsacrificeした.UFHは0.5-50U/dayの投与量を腫瘍注入翌日より浸透圧ポンプ(ALZET osmotic pump)を用いて持続皮下投与とした.IVISによる蛍光イメージングではルシフェラーゼ肝転移巣の蛍光量は、UFH 5U/dayで一番低下し効果を認めた.ルシフェラーゼ定量においても未治療(NC)群と比較してUFH 5/dayのモデルで腫瘍量が低値であった. また、PBSで溶解したPMBNポリマーにDHMEQを加え、超音波処理を施した後、さらに抗EGFR抗体(528)を加えることで配合体を作成し(DHMEQ-PMBN-528)、コントロールとして0.5%CMCで溶解した。DHMEQを作成した(DHMEQ-CMC)。In vitroには膵癌のcell lineでEGFRを高発現しているAsPC-1、BxPC-3、MIAPaCa-2を使用した。小開腹下に5×10^5のGaussia luciferaseを発現させたAsPC-1(AsPC-1-Luc)をヌードマウスの門脈内へ注入し、膵癌の肝転移モデルを作成した。結果は、PMBNポリマーを用いることでDHMEQの静脈内投与が可能で、更に抗EGFR抗体を結合させることで、DHMEQ単独の腹腔内投与より高い抗腫瘍効果を認めることが示された。
|