研究概要 |
ヒト膵癌株AsPC1をヌードマウスの膵尾部漿膜下に接種し、マウス膵癌モデルを作製した。Heparin(UFH)5U/dayを浸等圧ポンプを用いて投与し、癌部・非癌部の組織を採取、mRNAを抽出してマイクロアレイを行った。Heparin(UFH)の影響を、非投与群のmRNA発現量をコントロールとして癌部・非癌部において解析した。パラフィン固定組織よりmRNAを抽出し、ヘパラナーゼの発現量を解析した。 疎水性であるDHMEQをPMBポリマーで可溶化し、粒径測定を行った。約7μmと粒径はほぼ揃っていた。一方、CMCで懸濁したDHMEQの粒径にはばらつきがあり、多鋒性のピークを示した。この2種類の製剤を用いてヒト膵癌株AsPC1に対してWST assayを行ったところ、DHMEQ1,5,10,20μg/mlそれぞれの濃度において、ポリマーを用いて可溶化した群が0.5%CMCを用いて懸濁した群よりも高い細胞増殖抑制効果を示した。PMBポリマー単独では使用した範囲の濃度では細胞毒性はほとんど見られなかった。1回投与量を12mg/kgとしたin vivo投与試験の予備実験では、ポリマーを用いて可溶化したDHMEQを2日おきにi.v.した群が、o.5%cMcを用いて懸濁したDHMEQを連日i.p.した群より高い腫瘍増殖抑制効果を示した。DHMEQの血液中での安定性、組織内濃度及び血中滞留性をLS-MS装置を用いて分析した。採取した血液に混和した時のDHMEQの安定性には2群問で変化が見られなかったものの、12mg/kgのDHMEQを担癌マウスにi.v.した際には、肺・肝臓などの臓器に0.5%CMCを用いて懸濁した群、癌部にはPMBポリマーで可溶化した群でより多くDHMEQが集積している傾向が見られた。
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