研究課題
腎尿細管の各セグメント毎の虚血・再灌流障害前後におけるO^・_2^-、NO、cGMP、peroxinitriteを含む生理活性物質の変化を同定し、局在を明確にする目的で腎尿細管微小単離モデルを作製した。ラットを腹腔内麻酔で麻酔し、大動脈に挿入したカテーテルから左腎動脈に冷却HANK緩衝液を灌流した後、左腎を切除した。Microdissection法により尿細管を単離しチャンバーに固定した。先端直径が3-5μmのmicropunctureピペットを作成し、流入経路と流出経路を装着しておき、再灌流障害発生時のラジカルの産生を目的で、蛍光標識薬を用いた蛍光シグナル測定法を用いて、細胞内の^・_2^-やNOなどの検出を試みたところ、シグナルの検出が得られない結果となった。手技上、システム上の課題を網羅的に再検討する必要があると判断された。止む無く、局所腎血流測定モデル作製に移行した。レーザードップラー血流計を駆使して腎髄質と皮質の血流変化を独立に、継時的に測定するモデル作製を試みた。ラットを腹腔内麻酔下に開腹し、左腎を露出した上で、腎動脈をコントロールして虚血・再灌流障害を加えた。レーザードップラー血流計により、局所組織の血流量の定量を試みたが、腎髄質と皮質の血流をそれぞれ独立して測定することが困難であった。レーザードップラー血流計プローブそのものの作動状況を再検したところ、検出能そのものに異常は見られなかった。今回使用可能であったプローブの分解能の限界である可能性が示唆されたため、同様の実験系を大動物を用いて行った際に、再度測定を試みる予定とした。