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2010 年度 実績報告書

植物性スーパークーラントを用いた過冷却による24時間超長時間心保存法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21591791
研究機関東京大学

研究代表者

縄田 寛  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00463860)

研究分担者 本村 昇  東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40332580)
キーワード過冷却 / 心臓移植 / 臓器保存 / ケンフェロール
研究概要

背景:重症心不全に対する治療として心移植は標準的治療になってきている。現状のプロトコールではドナー心は臓器保存液内で+4℃の冷保存下にレシピエントのもとに搬送される。その許容虚血時間は4時間から6時間と非常に短い。より安全な移植およびドナープールの拡大のためにドナー心の保存時間の延長は心移植において残された課題の一つである。保存時間延長のため過冷却下の臓器保存がこれまで検討されてきたが、現在のところ充分な効果が得られてはいない。そこで、われわれは、新たに過冷却促進効果が報告されたフラボノールの一種であるKaempferol 7-0-β-D-Glucopyranoside(KF7G)を臓器保存液に導入し、過冷却下心保存の効果を検討した。
方法:ラット異所性心移植モデルを用いて、従来の+4℃心保存とKF7Gを用いた-2℃,-5℃過冷却保存の保存効果を比較した。ドナー心を(1)University of Wisconsin (UW)液、+4℃保存(2)UW液+0.01%KF7G.-2℃過冷却保存(3)UW液+0.01%KF7G、-5℃過冷却保存の3群に振り分け18,24,30時間保存した後、レシピエント腹部に移植した。移植15分後の拍動の強さを肉眼的に評価し、また2時間再灌流後の移植心を摘出し、組織学的にアポトーシスを評価した。また、電子顕微鏡での観察もおこなった。
結果:過冷却保存群のドナー心はすべて凍結することなく保存された。移植心の拍動はすべての保存時間で有意に-2℃過冷却保存群が+4℃保存群より良好であった。一方、-5℃保存群では+4℃保存群を上回る効果は見られなかった。TUNEL染色でのアポトーシスの定量化においては有意に-2℃保存群のTUNEL陽性細胞が減少していた。電子顕微鏡による観察では、-2℃過冷却保存群で+4℃保存群に比較してミトコンドリアやサルコメアの形態的保存状態が良好であった。
結語:KF7Gを臓器保存液に導入することで、過冷却下に心臓を保存することが可能であった。また-2℃過冷却保存が従来の+4℃保存より有意に優れた保存効果をもつことが示された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Successful introduction of novel supercoolant, Kaempferol 7-0-beta-D-glucopyranoside(KF7G), to sub-zero non-freezing rat heart preservation2010

    • 著者名/発表者名
      Shogo Shimada
    • 雑誌名

      Low Temperature Medicine

      巻: 36(2) ページ: 20, 24

    • 査読あり
  • [学会発表] 新しい過冷却促進物質kaempferol 7-0-β-D-glucopyranoside(KF7G)を使用した過冷却下心保存の検討-ラット異所性心移植モデルを用いて-2010

    • 著者名/発表者名
      嶋田正吾
    • 学会等名
      第46回日本移植学会総会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2010-10-22
  • [学会発表] Novel supercoolant, kaempferol 7-0-beta-D-glucopyranoside(KF7G), enabled 30-hour donor heart preservation at -2℃ in a rat heart transplan tation model.2010

    • 著者名/発表者名
      S.Shimada
    • 学会等名
      XXIII International Congress of The Transplantation Society (TTS 2010)
    • 発表場所
      バンクーバー、カナダ
    • 年月日
      2010-08-19

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公開日: 2012-07-19  

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