研究概要 |
本邦においてこれまで心臓腫瘍に関する疫学的調査はまとまったものが行なわれず、その種類や発生頻度が明らかにされていなかったため、本研究では心臓腫瘍の全国的な疫学的調査をおこなうとともに、その成果を『心臓腫瘍学』として出版することを目的として取り組んだ。 平成23年度は、平成22年度に行った日本胸部外科学会、日本循環器学会研修施設1,789病院に対するはがきによる1次調査、さらに心臓腫瘍を経験したと回答を得た病院に対する2次アンケート調査を集計し検討を加えた。その結果、1次調査では、原発性心臓腫瘍が502例報告され、そのうち心臓粘液腫が332例、乳頭状線維弾性腫が46例、悪性リンパ腫が43例、その他が81例であった。また、2次調査の結果では、原発性心臓腫瘍が306例、転移性腫瘍75例、合計381例であった。 さらにこの成果をもとに、心臓腫瘍の分類としてこれまで広く用いられてきたWHO分類(2004年)とは異なる観点から、心臓腫瘍を、(1)良性腫瘍、(2)悪性腫瘍、(3)異所形成/異所性組織腫瘍、(4)大血管の腫瘍に分類し、本邦においてそれぞれの腫瘍を経験したか、あるいは造詣の深い執筆者を選び、原稿の作成を依頼し、南山堂から平成23年10月1日、「心臓腫瘍学」として出版した。
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