研究分担者 |
澤 芳樹 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00243220)
松宮 護郎 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (20314312)
倉谷 徹 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (90448035)
坂口 太一 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10467574)
白川 幸俊 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20457013)
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研究概要 |
当研究では、VPS navigationシステムおよびCustom design stent graft systemという全大動脈に対応可能なデザインをもち、かつ3次元的に正確に安全に留置予定位置に誘導するシステムの開発を目的としている。 まずVPS navigationシステムの構築に関してであるが、当研究に関わるシステム構築の一環として、2009年4月に当病院に高性能透視装置(Artis Zee TA, Siemens AG, Forchheim, Germany)を備えたハイブリッド手術室が導入された。このシステムは血管造影時に3次元画像を構築する3D-DSA機能を備えており、navigationの基盤となるmappingに極めて有用な画像構築が可能であることから、現在使用症例を重ね3DCTとの対比データを蓄積中である。Surgical navigation systemとしてMediguide社のMPS systemを当初導入予定であったが、Mediguide社がSt Jude Medical社に買収され状況が変化したため、今後の導入に関し再度検討を行っている。 さらに、custom design stent graft systemの開発に関しては、以下の成果が達成された。 1) 大動脈基部対応型ステントグラフトの開発では、血管内治療に対応するvalve systemが必要となるが、これにはEdwards社SAPIEN valveを導入した。2009年10月にはEdwards SAPIEN valveを用いて本邦初となる経カテーテル的大動脈弁留置術を2例に施行し、成功させた。2010年度には更に臨床治験も開始し、同valve systemの使用データ(MDCT, 3D超音波検査など)を蓄積している。 2) 大動脈弓部対応型ステントグラフトには、弓部疾患の半数を占める大動脈解離に追従する性能が要求される。しかし、既存のグラフト素材では組織親和性が極めて乏しく、留置後数年を経てもグラフト上に十分な組織形成は得られないため、endoleakの要因となっている。そこで、当教室で現行の人工血管素材であるPolyethilene terephthalate(PET)繊維の芯にPGA繊維を巻きつけた2重構造の糸を平織りにしPET/PGAグラフトを開発した。これを雑種犬(第10~12週齢、体重20kg前後)の下行大動脈に移植し、移植後1、2か月目(PET/PGA, control ; woven polyester各群それぞれN=5、総計20匹)に免疫染色も含めて病理組織学的評価を行い、グラフトの自己組織化の程度および自己大動脈壁との組織学的連続性形成の有無を比較観察した。その結果、PET/PGAグラフトでは自己大動脈壁との組織学的連続性が形成されていることを明らかとし、今後の大動脈解離対応ステントグラフト開発に有用である可能性を示した。
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