研究概要 |
肺癌に対する腫瘍内圧測定法の確立 肺癌に対する腫瘍内圧測定の至適方法の確立を行うために、臨床研究・医療技術倫理委員会の許可を得た後、切除肺を用いそ、腫瘍内圧測定を行なった。Millar社のUltra-Miniature Mikro-Tip Pressure Transducer Catheters(SPR1000)を22G注射針の中に入れた状態で腫瘍を穿刺し、カテーテル先端を腫瘍内に残すように注射針を引き抜いた。2分ほどで、圧は定常状態となったので、この時点の圧を腫瘍内圧とすることとした。 平成21年9月より平成22年4月までに23例に腫瘍内圧が測定可能であった。その内訳であるが、腺癌および扁平上皮癌がそれぞれ11例、腺扁平上皮癌が1例であった。CT上の腫瘍の平均最大径は3.0±2.0cm(0.9-7.9)であり、組織型での有意差は認めなかった(p=0.09)。平均腫瘍内圧は9.1±8.6mmHg(2.1-37.2)であった。組織型毎の平均腫瘍内圧は,腺癌6.2±3.3mmHg(2.1-13.8」)(n=11)、扁平上皮癌11.9±11.6mmHg(2.5-37.2)(n=11)であり、有意に扁平上皮癌の腫瘍内圧が高かった(p=0.023)。同時に核磁気共鳴拡散強調画像を撮影し、apparent diffusion coefficient(ADC)を測定した症例において、ADCと腫瘍内圧の相関を検討したところ、r=0.134であり、相関は認めなかった。今後は開胸時における血流が保持されている時点で、腫瘍内圧を測定し、ADCとの相関の有無を検討したい。
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