肺癌に対する腫瘍内圧測定法の確立 肺癌に対する腫瘍内圧測定の至適方法の確立を行うために、臨床研究・医療技術倫理委員会の許可を得た後、切除肺を用いて、腫瘍内圧測定を行なった。Millar社のUltra-Miniature Mikro-Tip Pressure Transducer Catheters (SPR1000)の不具合が生じ、装置を改良し、腫瘍内に生理食塩水を満たした注射針を挿入することにより、腫瘍内圧を測定した。 平成21年9月より平成23年4月までに90例の肺癌に対し、腫瘍内圧が測定可能であった。その内訳であるが、腺癌57例、扁平上皮癌26例、腺扁平上皮癌5例、そして大細胞癌が2例であった。同時に核磁気共鳴拡散強調画像を撮影し、apparent diffusion coefficient (ADC)を測定した症例において、ADCと腫瘍内圧の相関を検討したところ、r=0.114であり、症例を追加しても、両者の相関は認めず、扁平上皮癌および腺癌に限って検討を加えても相関は認めなかった。 腫瘍内圧と他の因子と比較すると、腫瘍サイズ、T因子、N因子、ステージおよびFluoro-deoxy-glucose Positron Emmission Tomography (FDG-PET)のmaximal standardized uptake value (SUVmax)との相関が見られた(r=0.439)。 今後は拡散強調画像の本質に迫る研究と同時に、肺癌における腫瘍内圧の臨床的意義について検討を加える予定である。
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