研究概要 |
(はじめに)核磁気共鳴拡散強調画像は、フルオロデオキシグルコース陽電子断層法と似たような画像が得られる、肺癌診療に有用な画像診断法である。しかし、拡散強調画像が何を表しているかを探るため、腫瘍内圧を測定し、その関連性を検討した。 (方法)2009年より2011年に熊本大学で肺癌の手術を受けた患者のうち、95例(男性62人、女性33人、平均年齢70歳)を対象とした。この際、純粋なすリガラス影を呈する病変は対象外とした。腫瘍内圧は22ゲージ注射針に内装した極細径圧センサーカテーテル(SPR1000,ミラー社)を用いて、腫瘍中心部で計測。 (CT所見)病変の平均長径2.9cm。病変の性状は、充実性67例、すりガラス陰影成分を含むもの32例。 (病理)組織学的内訳は、腺癌57例、扁平上皮癌26例、腺扁平上皮癌5例、大細胞癌2例。IA期49例、IB期23例、IIA12例、IIB期4例、IIIA期7例。T1a35例、T1b20例、T2a28例、T2b5例、T37例。 (結果)拡散強調画像における見かけの拡散係数の平均値は10±0.4x10^<-3>mm/sec(0.3-2.2)。陽電子断層法の標準化最大集積値の平均値は4.6±3.5(0.3-15.1)。平均腫瘍内圧8.4±7.0mmHg(0-37.2)であった。腫瘍内圧は、見かけの拡散係数との間に相関を認めなかった(r=0.114)が、標準化最大集積値都の間には相関を認めた(r=0.439)。病理分類毎の腫瘍内圧は、腺癌7.1±5.8mmHg(0.8-32)(すりガラス影を含まないもの9.2±6.7mmHg(1.2-32)、)、扁平上皮癌11.2±8.6mmHg(5.7.14.1)、腺扁平上皮癌6.6±3.8mmHg(1.9-10.9)、大細胞癌15.3±5.8mmHg(0.8-32)であった。組織型による腫瘍内圧の有意差は認めなかった。病理病期においては、pT1の腫瘍内圧は6.5±3.9mmHg(0.8-17.2)であったが、pT2-3のそれは11.0±9.1mmHg(1.0-37.2)であり、有意差を認めた(P=0.004)。 (結語)肺癌において、腫瘍内圧は陽電子断層法における標準化最大集積値と病理学的T因子および病期との相関を示した。
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