研究課題/領域番号 |
21591819
|
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
川原 克信 大分大学, 医学部, 教授 (80152990)
|
研究分担者 |
山下 眞一 大分大学, 医学部, 准教授 (60444882)
武野 慎祐 大分大学, 医学部, 講師 (10347031)
山本 聡 大分大学, 医学部, 講師 (50343710)
宮脇 美千代 大分大学, 医学部, 助教 (30404388)
|
キーワード | 肺癌 / 両側縦隔リンパ節郭清 / RT-PCR / 微小転移 |
研究概要 |
目的:左肺癌におけるリンパ流は複雑であり、右上縦隔へ注ぐことが知られている。我々は左肺癌において右上縦隔郭清を追加することの意義について検討した。患者および方法:2010年12月までに手術した肺癌432例中左肺癌は128例でそのうち21例に両側郭清を行い107例の片側郭清群と比較し短期予後および長期予後を検討した。また微小転移についてはCK-19を用いたリアルタイムRT-PCRにより判定を行った。結果:手術時間および出血量は両側郭清で有意に高値を示した(両側群平均402分、片側群267分、p=0.001,両側群平均259ml、片側群142ml、p=0.016)。郭清リンパ節個数は両側群平均35個、片側群16個と有意差を認めた。術後ドレーン留置期間および在院期間は差を認めなかった。術後合併症発生率および死亡率に関しては両群間で差を認めなかった。右上縦隔を郭清することによって術前の臨床学的ステージIIIA3例中2例で病理学的にもIIIAであることを確認し、1例でIIIBにステージアップした。また術前ステージIIIB2例が病理学的にも確認された。病理学的ステージI期92例の予後について検討すると、4年無再発生存期間および全生存期間で両側群はいずれも100%であった。一方片側群は82.9%、80.6%といずれも低下を認めたが中間観察期間が短いため有意差は無かった。微小転移にの検討ではこれまでRT-PCRを行った8例でいずれも微小転移は確認されなかったが、1例で肺門リンパ節微小転移を認めた。 結語:胸腔鏡下両側郭清は安全であり、ステージIにおいては予後を改善させる可能性がある。症例を増やしてさらに短期成績と長期予後を検討する。
|