| 研究概要 |
研究成果の概要(和文):【目的】左肺癌は右上縦隔リンパ節への転移の頻度が高い.左肺癌の手術成績を改善するため、左肺癌に対し胸腔鏡下両側上縦隔リンパ節郭清を行い、その安全性と有用性を検討した.【対象・方法】2004年6月から2011年11月に胸腔鏡下に根治術を行った左肺の非小細胞肺癌症例のうち,80才未満で重篤な併存疾患がなく,画像上pure ground glass attenuationを示さない26例に対して両側縦隔リンパ節郭清・肺切除を行った,その内の臨床病期I期21例について,左側のみ郭清を行った臨床病期I期27例と臨床的に比較した.摘出リンパ節について、Cytokeratin 19 mRNをRT-PCR法で測定しリンパ節への微小転移の有無を検索した。【結果】術中の出血量,胸腔ドレナージ期間,術後在院日数,術後合併症発生率は、左側郭清群と両側郭清群に差は無かった.両群に手術死亡例は無く,重篤な合併症も見られなかった.21例中9例(42.8%)に対側(右)縦隔リンパ節への微小転移を認めた.9例中7例(77.8%)が同側肺門縦隔リンパ節に転移の無いskip metastasisであった。観察期間(中央値13.9か月)中に再発,死亡例は無かった.【結論】左肺癌に対する胸腔鏡下両側縦隔リンパ節郭清の安全性に問題はない。左肺癌の右上縦隔リンパ節への微小転移率は極めて高いが、術後3年までの短期予後は良好である。長期予後に関してはさらに経過観察が必要である.※平成21年度から23年度では両側郭清を22例行い、内訳は臨床病期Ia/Ib/IIa/IIb/IIIa/IIIbが11/5/正/1/2/2であった。病理学的リンパ節転移度はpN0/N1/N2/N3が18/0/2/2、分子生物学的転移度にはmN0/N1/N2/N3が8/1/3/10であった。
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