肺癌に対するEGFRを分子標的としたゲフィチニブなどの抗癌剤感受性では、特に耐性に関わるものとしてKras遺伝子が注目されている。今回われわれは肺癌におけるKras遺伝子変異およびについて、従来のシーケンス法だけでなく、LightCyclerを用いたジェノタイピング法を用いた。肺癌においては近畿中央胸部疾患センターとの共同研究で非喫煙者における解析を行い、Clin Cancer Res誌に掲載された。さらにKras遺伝子変異検索の範囲を胸腺上皮性悪性腫瘍にまで拡大して検索し、J Thorac Oncol誌に掲載された。 肺癌の喫煙者との相関が示唆されるCHRNA5遺伝子のSNPs(一塩基置換)の検索と、臨床病理学的因子の検索を行ったほか、肺の扁平上皮癌で多く見つかる遺伝子変異としてNRF2(NFE2L2)遺伝子の変異を検索し、遺伝子変異例では有意に予後が不良であることを報告してきた。
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