研究概要 |
本研究に関しては、ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する申請書を北里大学倫理審査委員会へ提出し、審査を受けすでに承認済みである(平成20年10月10日受付番号B倫理08-32)。採取した大細胞神経内分泌癌と腺癌の組織検体に対して、epidermal growth factor receptor (EGFR) exon 18-21における変異をDirect Sequence法を用いて検出を行い、EGFR遺伝子増幅はFISH法により検出した。K-ras遺伝子変異は、codon12, 13を中心に、Direct Sequence法にて検出を行った。HER2の過剰発現解析に関しては、免疫染色により蛋白発現を解析し、CD20, c-KIT、VEGFに関しては、パラフィン包埋標本に対して免疫染色を行い、蛋白発現を中心に研究した。さらにc-KIT高発現例に関しては、c-kit遺伝子のexon 9, exon 11, exon 13とexon 17の遺伝子変異を検討した。結果としては、大細胞神経内分泌癌において、c-KITの発現が腺癌と比べて有意に高頻度であったが、c-kit遺伝子変異はみられなかった。EGFR遺伝子変異は大細胞神経内分泌癌に比べて腺癌において有意に高頻度で、大細胞神経内分泌癌ではEGFR遺伝子のexon 19、exon 21には明らかな変異は認められなかった。以上のことから、肺癌においては組織型別にmolecular markerの発現、変異に違いがあるため、分子標的治療薬の選択には組織型に配慮する必要があり、今後、組織型別に有用な標的分子のさらなる解析が必要であると考えられた。以上の結果は「Molecular targeted therapy in patients with pulmonary large cell neuroendocrine carcinoma」として論文準備中である。また、それに付随した臨床研究の結果を13th World Conference on Lung Cancerにおいて「Postoperative recurrence and the prognosis in patients with pulmonary large cell neuroendocrine carcinoma」として発表した。
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