研究概要 |
1)LEDによる赤色光は、レーザーのように直進性がないため、LED表面からの対象物までの距離が大きくなると出力が著しく減少する。LED表面からの光軸にたいして約50度になると光量は半減する。我々は、発散角50度のLEDlamp(波長660nm,Epitex社製)に対して球面両凸レンズを用いてLED光の集光を試みた。レンズを決めるために、以下のようなシミュレーションを行った。LED発光部のサイズを6mm、発光面からレンズまでの距離10mmとした。レンズで集光されたLED光の効率は、10~20%程度と推測された。赤色LED発光面から10mmの位置で計測された出力は、レンズにより約18%の増加をみとめた。今後は、LEDの発散角をより小さくするような改良を行えば、より効率に集光することが可能であると考えられた。 2)悪性胸膜中皮腫は、胸腔という解剖学的にレーザー照射する際に死角になる部位が発生する。その問題を解決するために、我々は画像伝送とレーザー照射2つの機能を兼ね備えた複合型光ファイバー(日本原子力研究開発機構により開発)によりブタ胸腔内を観察し、ブタ肺胸膜に対するレーザー照射を試みた。複合型光ファイバーにより心臓・横隔面など従来レーザー照射しにくい部位の観察とレーザー照射が可能だった。 LEDの改良と複合型光ファイバーの機能を兼ね備えた装置の開発は、がんに対する内視鏡診断・治療がより一層発展すると期待される。
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