新規の気漏閉鎖法のための臨床応用に向けた皮膚線維芽細胞シートの最適化を検討した。皮膚線維芽細胞シートの構成細胞の評価として、蛍光抗体によるフローサイトメトリーでは、99%程度の純度で線維芽細胞を検出し、作製回収した細胞シートは満足のいく結果であった。 ラットによる細胞シート実験では、ルシフェラーゼトランスジェニックラットおよびGFPラットの新生仔ラット皮膚・肺を酵素処理により細胞を単離し、培養に供した。初代培養にて、感染していないことを確認し、培養開始4日目から7日目に、温度応答性培養皿に細胞を播種し、およそ1週間後に低温処理のみで細胞シートを回収した。培養皿上にはトルイジンブルーに陽性を呈する細胞を少数認めた。回収した細胞シートを2枚ないし3枚重ねて、F-344ヌードラットを全身麻酔下に左開胸とし、肺を一部切除し、同部位に移植した。ルシフェラーゼ陽性細胞から作製した細胞シートでは、F-344ヌードラットに移植後1日目、3目目、5日目、1週間後、9目目、12日目、2週間後、4週間後までルシフェリンを静脈内注射し、in vivo bioluminescence imagingを用いて発光を確認した。F-344ヌードラットは観察期間を通して発光していた。4週間後には細胞シートを移植した左肺を摘出し、組織学的評価を行なったところ、気漏部位に移植した細胞シートを確認した。シート周辺には小血管を認めた。シート表面には単層の扁平な細胞を認め、胸膜中皮細胞と考えられた。また、GFP陽性細胞シート移植後は、4週間目での観察では、再開胸時、細胞シート移植部位は癒着を認めず、シート移植部位に青色光を照射すると、シート表面で緑色に蛍光し、シート表面はルシフェラーゼ陽性細胞シートと同様に、単層の扁平な細胞を認め、胸膜中皮細胞のシート上への進展を認めた。
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