研究課題/領域番号 |
21591830
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
安田 学 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (50352307)
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研究分担者 |
花桐 武志 産業医科大学, 医学部, 准教授 (30299614)
竹之山 光広 産業医科大学, 医学部, 非常勤講師 (10309966)
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キーワード | アスベスト / 肺癌 / 腫瘍抗原 / Annexin A2 / SEREX |
研究概要 |
本研究は、石綿関連肺癌診断のための新しいバイオマーカー確立および、石綿による肺癌発症のメカニズム解明に繋げることを目的としている。今年度は、石綿曝露肺癌患者の液性免疫応答において認識されるAnnexin A2の発現との炎症性サイトカインであるIL-6との関連性の検討を行った。血清中のAnnexin A2抗体と血清中IL-6値を比較検討したところ有意差を持ってAnnexin A2抗体陽性症例中の血清IL-6値は高値を認めた。切除肺組織中の乾燥肺重量1gあたりの石綿小体を1000本以上認めた症例と認めなかった症例での比較検討においては、血清IL-6値は差を認めなかった。このことより、石綿曝露肺癌患者において、炎症性サイトカインであるIL-6が発癌に関与している可能性が示唆された。また悪性胸膜中皮腫において、腫瘍マーカーとされている血清中のオステオポンチンについて、肺癌切除例244例の術前血清を用いてELISAにて測定を行ったところ、男性および扁平上皮癌の症例において有意に血清中オステオポンチン値の高値を認めた。また術後5年生存率については血清オステオポンチンの値が高い群は62.5%、低い群は81.7%と有意に予後不良であった。しかし、石綿曝露肺癌患者とその他の肺癌患者における血清中オステオポンチン値には、有意な差を認めなかった。現時点においては、血清中のオステオポンチンよりも、Annexin A2抗体の方が、石綿関連肺癌のバイオマーカーとして有用と考えられた。
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