研究課題
目的:ヒトinduced pluripotent stem cells(iPS細胞)を利用した細胞移植治療の安全性についての検討。特にiPS細胞から神経細胞への分化を行い、将来はパーキンソン病の新たな治療法の確立が目標。成果:平成21年度にはヒトiPS細胞から効率よく神経を分化させるためにBMP inhibitor, Activin/Nodal/TGFβ inhibitorである2つの低分子化合物の使用が相補的に有効であることを発見した。従来の多能性幹細胞からの神経誘導の効率が格段に向上した。分化細胞の純度が上がるため、安全性という意味でもこの方法は非常に有効である。平成22年度には成果を国内および国際学会で報告し、論文発表も行った。さらに2つの化合物を用いて分化誘導したiPS細胞由来の神経前駆細胞をサルパーキンソン病モデルに移植して生着を確認した。分化誘導期間を長くすることで、移植後のグラフトの増大が抑えられる事も判った。この業績を平成23年度に論文発表した。さらに移植前の神経分化の度合いをより成熟させるためにin vitroにおいてNotch inhibitorが有効であることがわかり、移植前のNotch inhibiroの処置が移植後の神経組織の過増大を抑制することが示され、現在論文発表を準備しいている。ドーパミン神経前駆細胞の表面マーカーCorinがドナー細胞の純化に有用であることがわかり、選別細胞は移植後の腫瘍形成の危険も少ない事が判った。この成果についても論文準備中である。遺伝子導入によるiPS細胞の腫瘍化の危険性については、ES細胞との明確な差異は現段階では認められていない。さらにゲノムへの外来遺伝子の挿入のないiPS細胞の樹立技術が確立され、そのような新しいiPS細胞からもドーパミン神経が誘導されることがわかり、平成23年度に論文報告した。
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http://www.frontier.kyoto-u.ac.jp/ca01/index.html