研究概要 |
プロスタグランジンE2は腫瘍血管新生、細胞増殖、抗腫瘍免疫の抑制などの作用により腫瘍を進行させることが判っており、その受容体であるEP4は特に腫瘍増殖機序に関与している。以前の我々の研究において、EP4の発現を抑制させるとヒト膠芽腫細胞において腫瘍増殖抑制効果が得られることを報告した。以上より膠芽腫において腫瘍増殖に関与するEGFR/AktとEP4の関連性について様々な手法で検討した。今年度は、手術により摘出した膠芽腫および良性神経膠腫のパラフィン封埋切片よりプレパラートを作製して、免疫組織染色法にてEP4の発現を検討した。良性神経膠腫に比べて膠芽腫のEP4発現は亢進しており、悪性度に比例することが判った。またEP4による腫瘍増殖に関与していると予測されるEGFR、Aktなどの遺伝子発現も同様に検討したが、悪性度に比例して発現が元進していた。正常脳組織でもこれら遺伝子の発現を免疫組織染色法で検討したが、ほとんど発現はみられなかった。ヒト膠芽腫細胞であるT98GとU87MGを使用して、EP4、EGFR,Aktなどの遺伝子発現をWestern-blot法やRT-PCR法で蛋白、およびRNAレベルで検討した。両細胞においてこれら遺伝子の発現は強発現していた。今年度の研究結果と以前より本研究に関連した研究結果を合わせて、Joint Neurosurgical Convention 2010にて報告した。
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