研究概要 |
我々は以前の研究でヒト膠芽腫細胞株においてプロスタグランジンE2受容体のEP4が腫瘍増殖能に関与しており、EP4受容体の発現を抑制させる事により増殖能も抑制される事を報告した。今回の研究では、膠芽腫細胞におけるEP4受容体阻害剤のその増殖抑制効果について検討した。 今年度は小野薬品工業より選択的EP4受容体阻害剤であるONO-AE3-208とONO-AE1-328と提供してもらい、ヒト膠芽腫細胞(U87MG,T98G)に投与して細胞増殖抑制効果をMTT assayで検討した。比較のために代表的なCOX-2阻害剤であるセレコキシブも同様に投与した。96-well plateに1×10 (3)個/wellの細胞を撒いて70% confluenceになるまで10%FBS含有標準培養液で成長させた。 その後薬剤を投与し、無血清培養液下でday1-3まで増殖能を調べた。細胞は10%FBS含有下でも96-well plate内では増殖が悪いため、薬剤投与時にアラキドン酸で細胞刺激を行った。アラキドン酸で刺激すると、細胞増殖能は改善したが、選択的EP4受容体阻害剤2剤とも50~100μM投与下では細胞増殖抑制を認めるも、10~25μM投与下では抑制効果はみられなかった。セレコキシブでは10μM投与下で有意に抑制されており、以前EP4受容体阻害剤(AH23848)を使用してsoft agar assayで行った実験結果と相反する結果となった。この結果は96-well plateで増殖抑制を調査するのは設定が難しく、困難であると思われた。今後のヌードマウス移植モデルや脳内移植モデルを使用したin vivoでの検討や、今までの研究内容の問題点について協議するため、研究協力者のThomas E. Ehng(NIHIUSA)と米国で打ち合わせを行った。
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