我々はOVをより効果的な治療戦略とするため悪性グリオーマに対するオンコリティックウイルスを用いて、腫瘍マイクロエンバイロメント、さらには、腫瘍血管の変化について調べてきた。ラット脳腫瘍モデルにおいてOV-HSV-1感染後に血管透過性の亢進を認め、その原因を探るべく、我々のラボではOV療法における腫瘍から分泌されるアンジオトームの変化に関する研究を行ってきたところ、血管新生因子cysteine-rich protein 61(GYR61)の発現が有意に増加しているのを発見した。今回はCYR61のOV療法に対する影響を調べ、GYR61はウイルスの効果を抑制するかどうか検討した。 まず、本研究に使用するオンコリティックウイルスやプラスミドなどのセットアップを行うことができた。 1) CYR61の組み込まれたプラスミドを用い、脳腫瘍細胞株にtransfectionし、強発現させ、OVに対する感染効率、複製効率への影響について調べたところ、分泌GYR61はウイルスの効果を抑制し、感染が抑えられる傾向があった。 2) GYR61抗体を用いたOVに対する感染効率、複製効率への影響については現在検討中である。 3) CYR61に対するsiRNAを用い、抑制させる、ことにより、OVに対する感染効率が上昇する傾向が認められた。 4) 様々なHSV-1由来のOVについても、同様な傾向が得られ、アデノウイルス由来のOVについては現在検討中である。 以上の結果をさらに発展させ、22年度の計画である「グリオーマのprimary cultureおけるCYR61の発現」、「In vlvoにけるGYR61のOVに対する影響についての検討」を始めていく予定である。
|