研究概要 |
ラット脳動脈瘤モデルを用い、未治療群および5mg/kg/dayプラバスタチン投与のラットを用意。それぞれ各群におけるeNOS、接着因子(ICAM-1, VCAM-1, P- and E-sblectin)、酸化ストレス(Nox4, p22phox, Rac1)、apoptosis関連蛋白(caspase-3, Bcl-2, Bax)等の発現を定量RT-PCRおよび免疫染色により評価した。水溶性のPravastatin (5mg/kg perday)は内皮障害を減少し動脈瘤形成を蜘制した。In vitro試験で有効性の機序を確認した,eNOS levelsを増加し、脳血管内皮細胞における接着分子の発現を抑制したことから、これらの作用を介して血管保護的に作用すると考えられた。一方、高用量のPravastatin 25mg/kg per dayおよび50mg/kg per dayあるいはsimvastatin 5mg/kg per dayは動脈瘤を増大や動脈瘤破裂をきたした。これらのスタチンによる増悪作用はcaspase-3発現やterminal deoxynucleotidyl transferase dUTP nick end labeling (TUNEL)-陽性細胞の増加と関連したことからアポトーシス誘導作用が示唆された。エストロゲン欠乏状態というヒト脳動脈瘤に近いモデルを用いて低用量の水溶性ネタチンによる治療を行うと、脳動脈瘤の増大が抑制され、eNOS増加や接着分子の低下に関連した血管保護作用が示唆された。一方、高用量の水溶性スタチンや低用量でも脂溶性スタチンで治療すると、アポトーシス誘導と関連した動脈瘤増大や破裂が認められた。これらの結果から、スタチンは二面性作用があるため、適正な使用法を考慮することが望ましいと考えられた。この結果はStroke誌に掲載された(Stroke,2011;42:2286-93)。
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