研究課題/領域番号 |
21591845
|
研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
河井 信行 香川大学, 医学部, 准教授 (40294756)
|
研究分担者 |
川西 正彦 香川大学, 医学部, 助教 (80325349)
河北 賢哉 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (10505803)
山本 由佳 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (30335872)
|
キーワード | 頭部外傷 / 脳梗塞 / 膠芽腫 / 低酸素 / 陽電子断層撮影法 / ミソニダゾール / メチオニン |
研究概要 |
平成22年度の研究で重症頭部外傷患者において^<18>F-fluoromisonidazole(FMISO)を用いた陽電子断層撮影(PET)検査を施行し脳挫傷周辺部での低酸素領域の検出を試みたが、明らかなFMISOが集積亢進を示す低酸素領域は確認できなかった。そのため平成23年度の研究では、FMISO-PETを用いて脳梗塞と脳腫瘍症例においての低酸素領域の検出を試みた。脳梗塞における対象症例は、虚血性脳血管障害の診断、治療の目的で当院に入院しFMISO-PET検査を施行した10例(男性6名、女性4名、平均年齢60.5±19.2歳、27-82歳)である。脳梗塞発症2日以内の急性期に施行した症例は3例、発症3週間以内の亜急性期に施行した症例は3例であり、残りの4例は慢性期の脳梗塞症例である。結果は、急性期症例(発症30~40時間)では全例にMRI拡散強調画像での高信号の周辺にFMISO集積領域を認め、その領域の一部は後日梗塞巣へ移行した。亜急性期症例の1例(発症7日後)にもFMISO集積領域を認めたが、その後の脳梗塞巣の拡大はなかった。一方脳腫瘍における対象症例は、病理学的に膠芽腫と診断され、術前にFMISOとアミノ酸代謝を評価するメチオニン(MET)を用いたPET検査を施行した10例(男性7名、女性3名、平均年齢57.8±12.7歳、27-72歳)である。全例に低酸素領域を認め、その体積はMET-PETでの活動性腫瘍体積と有意な相関(r=0.94,P<0.01)関係を認めた。また低酸素領域の体積は、造影MRIで求めた腫瘍体積と同等であった。結論:脳外傷患者においてはFMISOで集積亢進を示す低酸素領域は確認できなかったが、虚血性脳血管障害では発症急性期の症例、悪性脳腫瘍(膠芽腫)では全例に低酸素領域を認めた。低酸素状態は、脳梗塞の進展や悪性脳腫瘍の治療抵抗性に重要な役割を有していると考えられている。FMISOを用いたPET検査を応用することで種々の脳疾患において非侵襲的に低酸素領域を描出することが可能であった。
|