研究概要 |
【目的】頸動脈狭窄症に対する治療方針を決定する上でプラーク診断は必須であり、周術期合併症の予測因子として重要である。我々は種々のmodalityを用いたプラークのvulnerabilityにつき検討を行ってきた。 【対象・方法】2003年より当大学において頸動脈狭窄症の治療対象となった症例において、MRI plaque imagingによる形態学的評価(lipid rich, intraplaque hemorrhage, plaque volume)及び機能的評価(造影剤によるneovascularization,超磁性体SPIOによるinflammation)を行った。またCT angiographyにおいてはdelayed imagingを用いたsubtraction法によりplaque stabilityの評価を行った。頸動脈エコー、IVUSにおいては他のmodalityとの比較を行った。全ての画像所見はCEAでの組織標本、またCASでのdebris標本と比較した。 【結果・考察】MRIでは高い感度、特異度でlipid rich plaque, intraplaque hemorrhageの検出が可能であった。またplaque volumeは無症候例にて有意に大きかった。造影効果については新生血管の分布にパターンがあり、lipid richとの相関はなかった。SPIOは炎症細胞に一致して集積していたが、必ずしもMRI所見とは一致しなかった。CT angiographyではsubtraction valueを用いることで石灰化によるblooming効果の問題が解決され、造影剤の染み出し効果が安定性の指標になるものと考えられた。頸動脈エコーはリアルタイムにプラークの評価が可能であり、脳血管撮影所見でunderestimateする症例において特にその有用性が高かった。IVUSは組織所見とのdiscrepancyがみられた。 【意義】現時点において頸動脈プラークのvulnerability評価としてはそれぞれのmodalityの利点、欠点を考慮して総合的に評価することが望ましいが、特にCT angiographyを応用することで更に正確性が向上した。
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